SCA2000 ソリッドステート ステレオコントロールアンプ説明書(1)

(有)TRF A.E.河野俊彦

1、はじめに
 ステレオ コントロールアンプ SCA2000は「次世代型真空管アンプ、SBA01A」とペアになるコントロールアンプとして企画されました。SCA2000を開発するに当たって、もう一度アナログディスクの良さを再認識して戴くためアンプであると定義し、特にフォノイコライザアンプに注力致しました。
 コンパクトディスク(CD)発売前のオーディオ再生に於いては音楽ソースの殆どがLPレコードで占められていた訳で、今となってはLPでしか聞けない音楽や演奏も沢山あります。その膨大な資産を無駄にしないためにもフォノイコライザアンプの責任は重大であると考えています。

 LPレコードを再生するにはフォノピックアップカートリッジ(通称、カートリッジ)が必要ですが、之には大きく分けてMC(Moving Coil),MM(moving Magnet)と呼ばれる2種類のカートリッジが有ります。特性や音質はMC型の方が良いのですが、カートリッジの発電出力がMMに比べて1/10と非常に小さいのでS/N良く再生するには難しいものが有りました。私達はどなたにも簡単にS/N良くMCカートリッジの音質を楽しんで戴ける様に専用のハイゲインMC−EQアンプを開発致しました。また、MMカートリッジの音質を好まれるお客様のためにはMM−EQアンプを搭載する事と致しました。共にDCサーボを搭載し、イコライザカーブのRIAA偏差を最小にする事によってアナログディスクの反り等による低域変調ノイズの無い、透明感の有るクリアーな音色に仕上げられています。アナログディスクにカートリッジを降ろした時、その実力を実感して戴けると考えています。
 ラインアンプも最近のSACD、高音質CD等の魅力を十分に引き出せる様、ローノイズ化、低歪み化に注力致しました。シグナルソースを外部の録音機に送出する場合もバッファアンプを介して送り出す事によって録音機側の入力インピーダンスが本来の再生信号に悪影響を与えない様に配慮致しました。

2、MC、MMカートリッジの特性について
 アナログディスク全盛だった30年ほど前は、発電機構の種類で色々な名称のピックアップカートリッジが発売されていました。カートリッジの発電方式の違いで音色も微妙に異なっており楽曲に合わせてカートリッジを選ぶのも楽しみの一つでした。カートリッジはMC、MMの2種類に大別出来ます。
1)MCカートリッジ
 スタイラス(針)を接着したカンチレバーに発電コイルを取り付け、スタイラスがレコードのグルーブ(溝)をトレースする動きに追従してコイルが動き発電し、コイルと対をなす重いマグネットはカートリッジのケースに固定する方式がMC(Moving Coil)カートリッジと呼ばれます。可動部のコイルはマグネットに比べて非常に軽く繊細な動きが出来ます。また、コイルの質量をより小さくする為にコイルの巻数を少なくするので、インダクタンス成分も小さく高域カットオフ周波数も高く出来ますが、発電出力が非常に小さくなります。音質的な特徴として透明感のある繊細な音色の物が多いようです。スペックは概ね、出力電圧が0.05mV〜0.3mV位、負荷インピーダンスが数十Ω〜数百Ω、高域再生周波数が40〜60kHzとなります。
 この様な特性を活かすためレコードをカッティングする時、ハーフスピードカッテイング等も行われていました。当時は高級オーディオを代表するものでマニア垂涎の方式でした。
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